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鈴木 篤之*; 長崎 晋也*
PNC TJ1602 92-001, 75 Pages, 1992/03
高レベル放射性廃棄物処分システムの性能評価を実施する場合、人工バリア中あるいは天然バリア中におけるアクチニド元素の移行挙動の把握が重要となる。近年、特にコロイドを形成したアクチニド元素の挙動の重要性が指摘されてきているが、その挙動に関する知見は十分には得られていない。本研究では、酸化性雰囲気のもと鉄真性コロイドおよびネプツニウム擬似コロイドの石英充填カラム内の移行挙動を検討した。その結果、コロイドの移行成分は、溶離液と同じ速度で移行する成分、遅延する成分、溶離液より速く移行する成分に分けられることがわかった。またそれぞれの移行メカニズムに関する定性的な解釈を加えることができた。
市川 富士夫
化学の領域, 27(2), p.74 - 75, 1973/02
ラジオコロイドの現象が放射性同位体の特性ではなく低濃度溶液中で生ずる溶存状態の一つであると考えられるに至った経過を述べ、その名称の不適当さに言及した。さらに、低濃度溶液の特徴を列挙し、今後の研究課題を指摘した。
市川 富士夫
表面, (4), p.208 - 213, 1970/00
私の知る限りでは,ラジオコロイドについては,コロイド化学の本を探してもあまり見当らないが,放射化学の本には必らず記載があるようである。たしかにコロイドの研究をされている人よりは,放射化学の分野で仕事をしているわれわれの方が,ラジオコロイド的現象にはなやまされているらしい。それではラジオコロイドは,コロイドではないのかというとそうでもない。ラジオコロイドは低濃度の物質の存在状態の一種であって,放射能という感度のよい検出手段でのみ観察できるので,放射化学研究者の関心をひいているに過ぎない。むしろ,界面やコロイド化学の専門家が,別の角度から見て下さることが問題の解決のために大いに役立つものと信ずる。本稿はそういう期待から,問題点を中心に書かれたものであって,ラジオコロイドの全般的解説については他の文献を参照されたい。
市川 富士夫
化学と工業, 19(8), p.80 - 85, 1966/00
ラジオコロイド(radiocolloid)とは何と奇妙な言葉であろうか。それは放射性コロイドのように読めるが、コロイド化学の教科書には出てこないコロイドである。それは、放射化学の分野で、10Mあるいはそれ以下のきわめて希薄な状態にある放射性同位体の示す「特異な」挙動に対してつけられた名前である。それは、放射性同位体にのみ検知されていたために「ラジオ」であり、その特異性がコロイド的であるために「ラジオコロイド」と呼ばれている。しかしながら、今日までラジオコロイドの実態については不明の点が多く、おかしな問題にぶつかるとラジオコロイドのせいにしてしまうという困った使い方さえあらわれてきている。この小文では、ラジオコロイドと呼ばれている現象のうち、いままでにわかっていることと未解決の問題を整理し、今後の他分野との関連と研究発展の方向について展望したいと考える。